【ル・マン24時間】ポルシェ、「911」の50周年に1-2フィニッシュ

2013年06月24日(月)19:28 pm

ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:マティアス・ミューラー)のワークスドライバーであるロマン・デュマ(フランス)/マルク・リーブ(ドイツ)/リヒャルト・リーツ(オーストリア)組の駆るポルシェ911 RSR(ゼッケン92)が、世界で最も有名な耐久レースとして知られるル・マン24時間レースのGTE Proクラスへ、ポルシェAGチーム・マンタイとして参戦し、アストンマーチン、シボレー、フェラーリ、ヴァイパーら強力なライバルたちを退けて、見事優勝を果たしました。もう1台の911 RSR(ゼッケン91)をドライブしたワークスドライバートリオであるイェルク・ベルクマイスター(ドイツ)/ティモ・ベルンハルト(ドイツ)/パトリック・ピレ(フランス)組もGTE Proクラス2位でフィニッシュし、ヴァイザッハで開発されたレーシングマシンは完ぺきな勝利を収めました。

GTE-Amクラスでは、カスタマーチームIMSAパフォーマンスマットマットのレイモン・ナラック/ジャン・カール・ヴェルナイ/クリストフ・ブレのフランス組の駆るポルシェ911 GT3 RSR(ゼッケン76)が勝利を収めています。この2クラスでの勝利は、ル・マン24時間レースでの99勝目と100勝目にあたり、世界的に知られる耐久レースの歴史に新たな1ページを加えました。

第81回目のル・マン24時間レースは、時々雨に見舞われ、変わりやすい天候の過酷な条件のもと行われましたが、今年デビューしたポルシェ911 RSRによる初めての勝利はレース後の安堵(あんど)感を、さらに大きいものにしました。ゴールラインでは、ポルシェAGチーム・マンタイのチーム全員がピットの壁に立ち、彼らの栄光をたたえました。その中には、ポルシェのピットで常にレースを見守ってきた、ポルシェAGの監査役会会長を務めるDr. ヴォルフガング・ポルシェとポルシェAG 社長のマティアス・ミューラー、そして同じく監査役会のヴォルフガング・ハッツ(研究開発部門)とベルンハルト・マイヤー(セールス&マーケティング)の姿もありました。

FIA世界耐久選手権(WEC)の第3戦であるル・マンにおいて、2台の911 RSRはスタート直後から3番手前後を走り、揃って入賞を狙える位置につけます。素晴らしいラップタイムと信頼性によって、特に92号車の911はスタートからトップを伺います。ピットストップも順調で、燃料補給、タイヤおよびドライバーチェンジといったルーティーン作業のみを行い、クルマをサーキットに送り出しました。2台の911 RSRは、91号車がライバル車と衝突してリアライトを交換したことを除き、小さな技術トラブルもなく完走しました。また91号車のステアリングを握っていたイェルク・ベルクマイスターは、スタート直後すぐ目の前にセーフティカーが入ったことで約2分の遅れを強いられました。

部分的に濡(ぬ)れた過酷なサーキットに苦労するライバルに比べ、911 RSRはトラブルもなく一貫して最速のラップタイムを刻んで夜の走行を安全に終え、初勝利を手繰り寄せました。ゴールの1時間前には土砂降りの雨が降り、後続車が最終アタックを仕掛けましたが、91号車のリヒャルト・リーツは動じませんでした。終盤、91号車もアストンマーチンとフェラーリを抑えて2位に順位を上げ、ポルシェのワークスドライバーは、ワンツー フィニッシュを手中に収めました。

GTE-Amクラスでは、3台のポルシェ911 GT3 RSRがトップを快走しました。レイモン・ナラック、クリストフ・ブレおよび今シーズン、ポルシェ・モービル1・スーパーカップでポルシェのサポートを受けているジャン・カール・ヴェルナイのチームがチェッカーフラッグを受け、勝利を収めました。これは2012ポルシェ インターナショナル・カップ奨学金を獲得したジャン・カール・ヴェルナイにとっては、夢がかなった瞬間でした。デンプシー・デル・ピエロ・プロトン911 GT3 RSRをドライブしたのは、ポルシェのワークスドライバーであるパトリック・ロングとジョー・フォスター、そしてレーシングドライバーでもある俳優のパトリック・デンプシーで、全員がアメリカ人でした。デンプシーは、時折リードを奪う走りを見せていましたが、自らのミスではなく、1台のスポーツプロトタイプにコース外に押し出され、ポルシェでのル・マン初優勝の夢が断たれました。

また、デンマークのアラン・シモンセンの死が、ル・マンのレースに暗い影を落としました。レース4周目、アストンマーチンをドライブするシモンセンが、高速のテルトル・ルージュ・コーナーのバリアに突っ込み、24時間サーキット・メディカル・センターに重体で運び込まれた後、間もなく亡くなったのです。

ポルシェAGの監査役会会長であるDr.ヴォルフガング・ポルシェは、「今回のル・マン24時間レースでは、911 RSRでクラス99勝目および100勝目のダブル優勝を遂げ、ポルシェはすばらしい成功を収めました。この勝利に貢献した全員に、祝辞を贈ります。しかし、私たちの喜びは、アラン・シモンセンの死に対する悲しみとショックにより複雑なものとなってしまいました。私たちは、情熱的なレーサーを失っただけではなく、ポルシェのモータースポーツ・ファミリーの良き友人を失いました。彼は、2007年にポルシェでル・マン24時間レースのデビューを飾りました。また、2005年には、当社のワークスドライバーであるマルク・リーブとともに、ル・マン耐久シリーズの2戦をポルシェで戦った歴史もあります。彼の家族ならびにアストンマーチン・チーム、および彼のチームメートに心からのお悔やみを申し上げます」とコメントしています。

ポルシェAGの社長であるマティアス・ミューラーは、「この魅力に溢(あふ)れた24時間は、私たちのほとんどが体験したことのないアクション満載のレースでした。ル・マンは、最初から最後までエキサイティングなものでした。最終的には運が私たちに味方してくれました。アストンマーチンは、とてつもない強敵でした。私たちは今、事故で他界したアラン・シモンセンのことを想(おも)わずにはいられません。これは、モータースポーツ界およびアストンマーチンにとって、大きな悲劇です。しかし一方で、ポルシェはGTレースで勝つマニュファクチュアラーであることを再度証明しました。これは、2014年への希望となります」と述べています。

ポルシェAGの研究開発担当役員であるヴォルフガング・ハッツは、「私は、チーム全員で成し遂げた偉業に、信じられないほど強い誇りを感じています。GTE-Proクラスでのワンツーフィニッシュと、当社のカスタマーチームによるGTE-Amクラスでの優勝は、これ以上望むことのできない結果です」と語っています。ポルシェのモータースポーツ部門のトップであるハルトムート・クリステンは、「911の50周年と、ここル・マンにおいて最後にワークスチームで参戦してから15年にあたる今年、想像し得る最高の結果を達成することができました。私はワークスチームのみの話をしているわけではありません。当社のカスタマーチームもすばらしい活躍を見せてくれました。これ以上望むことはありません。観客にとってレースはスリリングで、私たちにとっては神経がすり減るものでしたが、この結果で報われました」と話しています。

ポルシェAGチーム・マンタイの監督であるオラフ・マンタイは、「私たちの成功に言葉を失った状態です。最後から2回目にセーフティカーが入った時点で、私はそれほど楽観していませんでした。まだこの勝利を信じられません。1999年に初めてル・マンでポルシェと組んだときにも、優勝しました。その15年後の今日、私たちはまた勝つことができました。しかし、神は私たちの神経が破壊されてしまうようなシナリオを用意していました」と述べています。

マルク・リーブ(#92)のコメント:「まるで、おとぎ話のようです。911 RSRでの初挑戦でル・マンの優勝を獲得できるとは、夢にも思いませんでした。これほど短期間で911 RSRをル・マン優勝へと導いた私のチームメートとクルー全員を信じられないほど誇りに思っています」。

リヒャルト・リーツ(#92)のコメント:「すべての山場を迎えた私の最後のスティントでも、大きなプレッシャーは感じませんでした。しかし、最初から私の頭にあったのは同僚の死と1/10秒との戦いで、ポジションは二の次でした。十分に集中できたドライバーは、多くはいなかったと思います。ル・マンでこれほど多くのセーフティカー・フェーズを経験したことはありません。雨は私たちに幸運をもたらしましたが、このような困難な条件下で運が必要だったことも確かです。自分たちのパフォーマンスと車両に関しては、私たちは喜びと誇りを感じていますが、私たちの心はほかのところにあります」。

ロマン・デュマ(#92)のコメント:「今回のル・マンは、スタートからサスペンスと感動に溢(あふ)れていました。アラン・シモンセンの悲劇の事故から始まり、最後には恵みの雨で私たちは大いに救われました。しかし、最初はセーフティカーで大きなフラストレーションを感じたのも確かです。この優勝がポルシェと911の50周年に花を添えるものとなったことはうれしい限りです」。

イェルク・ベルクマイスター(#91)のコメント:「アランの事故死で複雑な気持ちでした。アストンマーチンの優位性を考えると、ワンツーフィニッシュは、レース前には夢にも描くことのできなかった結果です。私たちには素晴らしい車両がありましたが、少しの悪運にも見舞われました。それでも、あきらめずに戦い続けた結果の2位は、大きな慰めです」。

パトリック・ピレ(#91):「今日という日は、誇りと幸せを感じる日ですが、悲しみの日ともなりました。このような状況のため、私たち全員が気持ちを整理するのに数週間はかかるでしょう。今は皆がアランを想(おも)い、そのため、この成功も私にとって本来のすばらしい瞬間とはなり得ません。私たちは勝利をポルシェに捧(ささ)げるため、新しいレーシングマシンである911RSRとともに、チーム全員で並外れた努力をしてル・マンに挑みました」。

ティモ・ベルンハルト(#91)のコメント:「天候がめまぐるしく変わり、動きの多い難しいレースでした。私たちは表彰台を狙っていたので、特に911 RSRでのル・マンが最初で最後となる私にとって、ワンツーフィニッシュはすばらしい結果です。スタートから私たちは速いペースで走行していましたが、セーフティカーのため早い段階で2分ロスし、残りのレースはこれを取り戻すために費やしました。最終的には、必要な運に恵まれました。チームメートの勝利を祝いたいと思います。チームにとって本当にすばらしい一日となりました」。

ジャン=カール・ヴェルナイ(#76)のコメント:「今シーズン、私はポルシェ・モービル1・スーパーカップでポルシェのサポートを受けています。ここル・マンでは、ポルシェが私に寄せてくれている信用に間違いがないことを証明したいと思っていました。そして、それを証明できたと思います。私にとって最高の週末でした」。

パトリック・ロング(#77)のコメント:「私は、パトリックとジョーとともに表彰台に上りたいと強く願っていました。優勝も狙えると思っていました。 車両は信じられないほどの仕上がりでしたが、私たちのレースではなかったということです。今日は、ポルシェにとってすばらしい日となりました。新型911 RSRがル・マンでワンツーフィニッシュ - ほとんど信じられないような偉業です。この勝利に貢献したヴァイザッハの全員におめでとうと言いたいです」。

パトリック・デンプシー(#76)のコメント:
「パトリック・ロングは最高の仕事をしてくれました。彼はすごく巧みに、すごく速くドライブしました。彼がチームにいてくれたことに感謝しています。彼は驚くほどに刺激と感動を与えてくれる存在です。ポルシェは私たちに優れたマシンを提供してくれました。私たちは表彰台を狙える位置にいました。ル・マンにポルシェと共に参戦するのは、信じられないような経験です。私は、この偉大なプロジェクトに参加できたことを誇りに思います」。

世界耐久選手権(WEC)の第4戦は、9月1日にブラジルのサンパウロで開催されます。

レース結果
GTE-Proクラス

1. デュマ/リーブ/リーツ(フランス/ドイツ/オーストリア)ポルシェ911 RSR、315周
2. ベルクマイスター/ベルンハルト/ピレ(ドイツ/ドイツ/フランス)ポルシェ911 RSR、315周
3. ダンブレック/ミュッケ/ターナー(イギリス/ドイツ/イギリス)アストンマーチン、314周
4. マグナッセン/ガルシア/テイラー(デンマーク/スペイン/米国)シボレーコルベット、312周
5. ベレッタ/小林/ビランダー(モナコ/日本/フィンランド)フェラーリ458イタリア、312周
6. ブルーニ/フィジケラ/マルチェッリ(イタリア/イタリア/イタリア)フェラーリ458イタリア、311周

GTE-Amクラス

1. ナラック/ブレ/ヴェルナイ(フランス/フランス/フランス)ポルシェ911 GT3 RSR、306周
2. ペラッツィーニ/カーセ/オーヤン(イタリア/イタリア/カナダ)フェラーリ458イタリア、305周
3. ガーバー/グリフィン/チオチ(南アフリカ/アイルランド/イタリア)フェラーリ458イタリア、305周
4. デンプシー/ロング/フォスター(米国/米国/米国)ポルシェ911 GT3 RSR、305周
7. ヘンツラー/ジボン/ミレーシ(ドイツ/フランス/フランス)ポルシェ911 GT3 RSR、300周
8. リード/ローダ/ルベルティ(ドイツ/イタリア/イタリア)ポルシェ911 GT3 RSR、300周
9. コラール/ペロッド/クルビル(フランス/フランス/フランス)ポルシェ911 GT3 RSR、298周
(ポルシェ・ジャパン・プレスリリース)

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