ホンダと独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)が、東京電力福島第一原子力発電所向けに共同開発した「高所調査用ロボット」が18日(火)より稼働を開始した。
【画像】ホンダの産総研が開発した「高所調査用ロボット」(全9枚)
この「高所調査用ロボット」は、遠隔操作で原子炉建屋内1階高所の狭い個所などの構造把握と現場調査を行う目的で開発されたもの。東京電力から提供された現場情報をもとに、上部に設置された調査用アームロボット部分をホンダが、クローラー式高所作業台車を産総研が担当している。
調査用アームロボットには、ホンダがヒューマノイドロボット「ASIMO」の開発で培った技術が応用された。原子炉建屋内の構造物が入り組んだ状況でも、多数の関節を同時に制御することで、隠れていて見えない対象物も容易に捕捉し、アームの先端に設置したズームカメラやレーザーレンジファインダー、線量計を使い、詳細な画像や三次元形状データの確認、線源の特定などを可能にする。
また、クローラー式高所作業台車は、産総研が培ってきた遠隔操作技術をもと開発。低重心構造とし転倒安定性を高めた高所作業車にカメラ、ライト、レーザーマーカーなどの配置を工夫して取り付け、400メートルの光ファイバーを用いた有線LANおよび無線LANを介して遠隔操作できるようになっている。
遠隔操作インターフェースはホンダと産総研の共同開発。高所調査用ロボットを遠隔操作により原子炉建屋内の暗くて狭い個所を移動させることができるほか、調査個所でアームロボットのマストを伸ばして、アームの先端が構造物にぶつかることなく、7メートルの高所に到達させ調査することを可能とした。
ホンダでは、今回の調査用アームロボットに続き、今後は防災や減災など災害への対応を目的としたヒューマノイドロボットの開発も加速させていきたいとしている。