2013年からF1に復帰したエイドリアン・スーティル(フォース・インディア)は、ブランクを感じない走りができて満足だと語った。
2011年にロータスのチーム首脳に暴行したとして有罪判決を受けたスーティルは、2012年シーズンはフォース・インディアと契約を更新できず浪人生活を送ったが、2013年シーズンには古巣フォース・インディアからF1に復帰を果たした。
ドライバーのF1復帰では、7冠王者として君臨するも、かつての実力を発揮できないまま再び引退したミハエル・シューマッハのように、カンを取り戻せずに実力を発揮できない場合もある。
しかし、スーティルは今シーズンも以前と変わらない安定感のある走りを見せていて、本人もスペインの『El Confidencial(エル・コンフィデンシャル)』に「僕の場合は、数周のテスト走行を終えたら、僕が1年半ぶりにクルマに乗っているなんて誰にもわからないくらいだったよ」
2012年シーズンに参戦できないことが確実となった2011年の年末は「がっかりしたし腹が立った」と明かしたスーティルはこう続けた。
「モータースポーツの世界は不公平だよ。でも、じゃあ僕は何がしたいんだろうって考えたんだ。ゆっくり考えて、30歳の今、F1でもう一度戦おうって決めたんだ」
F1との和解はうまくいったスーティルだが、暴行事件をきっかけに壊れたのはF1でのキャリアだけではない。長年の友人だったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)との友情は、この事件で跡形もなく壊れてしまった。暴行事件の現場に居合わせたハミルトンが証人として出廷しなかったため、スーティルは有利な証言を得られなかった。スーティルは今もハミルトンとの和解には消極的だ。
しかしハミルトンは、スーティルとの友情復活について前向きに考えており、先日F1モナコGPで「普通、ほんとうに信頼できる友人は片手で数えられるくらいだろう。いい友だちは大切な存在だからね」と話し、「僕は、もう大丈夫だっていう確証がほしいんだ」と胸中を明かしていた。
ハミルトンのこの発言にスーティルは、「ルイスが言ったように、(友人関係は)別物だね。僕は今も仲直りできる日を待っているよ、今はそれしか言えない」と話している。