イギリス国内の報道によると、パディ・ロウのメルセデスAMG移籍で、同チームとマクラーレンのあいだに何らかの取引があったという。
20日(月)、メルセデスAMGはロウが技術部門のエグゼクティブ・ディレクターに就任し、6月初旬にチームに合流すると発表した。
ロウは長年務めたマクラーレンのテクニカル・ディレクター職を去り、今年いっぱい“ガーデニング休暇”をしながら契約満了を待つはずだった。ところが、この移籍は半年も前倒しされたかたちだ。
6月3日(月)に予定されるロウの着任についてメルセデスAMGは、“合意に至った”ことしか明らかにしていない。
『Mirror(ミラー)』紙の特派員バイロン・ミラーは次のように伝えている。「マクラーレンからのコメントはないが、彼らの同意なしにロウの移籍は実現不可能だったことは言うまでもない」
『The Sun(サン)』紙のクリス・ホックリー記者も、メルセデスAMGとマクラーレンが“何らかの取引をした”とにらんでいる。
ホンダF1参入の道筋をつけるためメルセデスのエンジン供給契約を2014年で打ち切るマクラーレンは、メルセデスAMGにロウ早期退職の“交渉材料”を与えたと読んでいるのは、イギリスのTVコメンテーター、ジェームズ・アレンだ。
来季はV6ターボエンジンの情報がホンダに流出しかねないことから、メルセデスは“大きな不満”を抱えていると、アレンは自身のブログで次のようにつづっている。「そこでメルセデスAMGは、これを逆手に取ってロウの早期退職を引き出したのだ」
一方、ドイツの『Die Welt(ディー・ヴェルト)』紙は、本来ならメルセデスAMGはロウ離職と引き換えに相当な額の金をマクラーレンに払う義務があったはずだと明かしている。
メルセデスの広報は、「それは憶測にすぎず、コメントはしない」と語るのみだった。
いずれにしろ、ロウを早めに獲得できたメルセデスAMGは、満足しているとみられる。
メルセデスのエグゼクティブ・ディレクター、トト・ヴォルフは、オーストリア『APA通信』に、こう話している。「メルセデスAMGの目標は最高の人材に働いてもらうことだ」
「パディの加入はわれわれにとって、とてつもなく大きなプラスだよ。こんなに早くチーム入りしてくれてありたがいと思っている」