ピレリが、第7戦カナダGP(6月9日決勝)に変更後のタイヤを持ち込むことを発表したが、F1スペインGPで優勝し、ダブル表彰台にも立ったフェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・ シュポルト)』 にこう話している。
「ただタイヤを変えればいいというものではない」
開幕戦優勝を含めてこれまでの5戦中4戦でキミ・ライコネンが表彰台に立っているロータスのチーム代表エリック・ブーリエも、不平を言うチームの意見を聞き入れるのは「不公平だ」と話す。
「ピレリは20周走れるタイヤを作れと言われて、その通りにしたんだ。私たちのクルマは20周走れるのだから、ほかのチームは努力するべきではないのか」
F1唯一のタイヤサプライヤーであるピレリのポール・ヘンベリーも、現状の公平さについて主張がある。このまま何もしなければ批判を受け続けるが、何かすればレッドブルびいきだと非難される可能性がある。
「レッドブルの助けになるようなことをすれば、ロータスやフェラーリは不満だろうね」
「何かすれば文句を言われ、何もしなくても文句を言われるのだろう」
ヘンベリーはブラジルの『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』に「こうなったら、レースの最後まで走れるタイヤを作る方が簡単で安上がりだ」と語り、次のように続けた。
「われわれがどれだけのタイヤを作ってレースに持ち込んでいるか、誰にだって分かるだろう。(レースの最後まで走れるタイヤなら)仕事はずっと簡単になる」
「以前も言ったように、どういう競争を望むか、それ次第だ」
F1は競争と政治の世界だ。『Welt(ヴェルト)』のサイモン・ポーシュ記者は「自分の結果に不満があればあるほど、不平の声は大きくなる」と、声高にタイヤを批判するチームを揶揄(やゆ)している。
『Times(タイムズ)』のケビン・イーサン記者は、F1撤退をちらつかせたレッドブル総帥のディートリッヒ・マテシッツの発言は「利己的」だとし、「タイヤ論争は、F1の混乱と不満の象徴だ。2014年から高騰するエンジン価格、チーム財政の差、そういったもの(のはけ口)だ」