1990年代から2000年代にかけて活躍したイギリスの元F1ドライバー、デビッド・クルサードが、マクラーレンの危機的状況を嘆いている。
チーム代表のマーティン・ウィットマーシュは表向き、これからの巻き返しを強調している。しかし実際のところ、2013年型MP4-28はお披露目の当初からトラブルを抱え、開幕から4戦で早くもタイトル争いから大きな後れを取ってしまった。
クルサードは、ドイツのウェブサイト『motorsport-magazin.com』で次のように語っている。「今年もシーズンは長い」
「しかし、過去数年を振り返ってみてほしい。どのレースも常にポイント・フィニッシュが必須だ。しかも上位に食い込まなければならないのは明らかだよ」
「マクラーレンにとっては難しいんじゃないかな」
ヨーロッパラウンド幕開けとなる今週末の第5戦F1スペインGP(5月12日決勝)に、大幅な改良を施したマシンを持ち込む予定のマクラーレン。おそらくチームにとっては、唯一、シーズン巻き返しのチャンスだろう。
第4戦バーレーンGP後、ウィットマーシュはこう話している。「多少、前進したが、さらにもっと努力が必要だ」
チームを引っ張るエースのジェンソン・バトンの公式コメントはこうだ。「次戦に予定されているアップグレードの重要性が多く語られているが、僕自身、今週末はどうなっても驚かないよ」
ところがバトンはブラジル『Totalrace(トータルレース)』に、次のように心情を打ち明ける。「僕らにとってスペインGPはかつてないほど重要な一戦だ。現状、予選でコンマ7から8秒の遅い。しかし、それをいきなり挽回するのは無理だよ」
「でも、何とか正しい方向性に持っていきたい。このマシンでできることは、まだあるはずだ」
また、こんな考え方もある。2013年をあっさりと諦め、すべての焦点を2014年に合わせるというものだ。開幕から間もないタイミングで資金や人材を転じれば、来たるV6ターボ・エンジン時代に大きな見返りがあるかもしれない。
ウィットマーシュは2014年へシフトすることを否定するが、バトンは違う。「そうした可能性は考慮に入れるべきだね」
「でも、どうなんだろう。やはり今年の勝利を捨てきれないよ。僕らの目標は今も2013年の選手権獲得だ。まずはバルセロナですべきことに集中しようじゃないか」