メルセデスAMGの新首脳であり、株主でもあるトト・ヴォルフが、これまでになくはっきりと、マクラーレンの元技術責任者であったパディ・ロウが近々メルセデスAMGに合流するであろうことを示唆する発言を行った。
マクラーレンで長期にわたって技術責任者の職にあったロウだが、現在はすでにマクラーレンを離れており、いわゆる「ガーデニング休暇」(※)の状態にある。だが、ロウはメルセデスAMGでもっと責任の重い仕事に就くことを受諾したとのうわさがささやかれ続けていた。
最終的には、ロウがメルセデスAMGの現チーム代表であるロス・ブラウンの後任となるものと考えられている。
13日(土)発行の『Die Welt(ディー・ヴェルト)』紙には、「昨年の結果に基づいて、ニキ(ラウダ/メルセデスAMG非常勤会長)がパディにメルセデスAMGで働く気はないかと誘ったんだ」とのヴォルフのコメントが掲載されている。
ヴォルフのコメントはさらにこう続く。
「ロスは、プロらしい態度で対応し、こう言ったよ。3年にわたって自分は期待されていた結果を出すことができなかった。それゆえ、君が後継者を探すのは当然のことだ、とね」
だが、ロウがすでにマクラーレンの第一線からはずれているのに対し、その卓越したエンジニアリングとマネジメントによってF1界で大きな尊敬を集めるブラウンのほうは依然としてメルセデスAMGの指揮官の立場にある。ブラウンのチーム離脱が迫っているのであれば、ブラウンもチーム運営から外されることが考えられる。
これについて、ヴォルフは次のように説明している。
「これは機密条項を含む契約による、非常にプロフェッショナルな環境なんだ」
「私は、ロス・ブラウンやパディ・ロウほどの人物が次のチームへ移ったからといって、そこですべてのことをそのままライバルに話してしまうなどと思っていないよ」
「それについては心配する必要はないと思っている」
(※)要職にある者が離職する際、最新の機密情報が漏えいされることを防止する目的で、一定期間ほかのチームへ移籍することを禁止する契約が結ばれることが多い。こうした場合、離職後次のチームでの仕事を始めるまでの期間はどこにも所属せず、庭いじりをしながら過ごすことになるとの意味で、こうした期間のことを「ガーデニング休暇」と呼ぶ。