今季のF1第2戦マレーシアGP決勝では、レース終盤にレッドブルのセバスチャン・ベッテルがチームからの指示を無視してチームメートのマーク・ウェバーから優勝をさらったとして物議をかもしたが、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、もし逆にウェバーがその立場にいたとすればやはり指示を無視していただろうとし、「従順」でいるようではチャンピオンとして成功などできない、とベッテルを擁護している。
「マルチ21」という暗号で示されたチームオーダー事件が起こったマレーシアGPからすでに1週間以上が経過したものの、レッドブルでは依然としてそのことで亀裂が入った2人のドライバーに関する対応に追われているようだ。
セパンで行われたマレーシアGP決勝の後、激怒したウェバーはベッテルに対し、「マルチ21だろ」と言ったきり、話をしようとはしなかった。そのマルチ21とは、「その位置を保て」ということを意味する暗号であることは明らかだった。
ホーナーは、『Sky(スカイ)』に対し、「マルチ21とは、カーナンバー2がカーナンバー1の前、そしてマルチ12はその逆でカーナンバー1が2の前という意味だ」と明かし、次のように続けた。
「解釈するのはそれほど難しくはないが、過去3レースにおいては、われわれのドライバー2人はどちらもその両方の意味を理解できていたわけではないようだ」
「今後その暗号を使うことはあきらめることになると思う。多分、何かほかのものを試す必要があるだろうね」
ベッテルは、ウェバーに対してのみでなく、600人を超えるというレッドブルの全スタッフに対して陳謝したと伝えられている。
しかし、ホーナーはブラジルの『Totalrace(トータルレース)』に対し、「もし従順でいれば、彼ほどの勝利を得ることはできない」と主張し、次のように続けた。
「もしフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)や、あるいはルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)があの状況にいたとしたら、彼らだって(ベッテルと)同じことをしただろう」
「もしマーク・ウェバーがその位置にいれば、同じだっただろう。だから、セバスチャンだけが悪者のような言い方はもう止めようよ」