今年もトヨタでWEC(世界耐久選手権)に参戦する中嶋一貴が、今の心境を語った。
Q:トヨタ・レーシングは2012年シーズンの間にどれだけの進化を遂げたか?
一貴:WECプロジェクトが発表されてから最初に私がケルン(ドイツ:トヨタ・レーシングの本拠地)を訪れたときには、車両はモノコック(車両中心部分)しかできていなかった。そこから1年に満たない期間でレースに勝利するまでに至ったのは驚くべき進歩だ。しかし、その結果は車両の開発だけで成し遂げられたものではなく、2012年1月の最初のテストからすべてのスタッフが一丸となって努力を続け、成長してきたトヨタ・レーシングの偉大なチームスピリットも含まれている。それは、2013年にわれわれが大きく羽ばたくための基盤となってくれるはずだ。
Q:個人にとって昨シーズンはどんな1年であったか?
一貴:2012年は私にとって信じられないような一年だった。それまで、私のキャリアを通じての目標は、FIAの世界選手権レースで勝利を挙げることだった。それをトヨタで、富士スピードウェイの母国のファンの前で成し遂げることができ、本当に感激した。ル・マン24時間レースを戦い、この偉大なレースを経験出来たことも素晴らしかった。特に私にとっては、父の足跡を追うことにもなったからだ。非常に忙しい一年だったが、WEC富士での勝利と、フォーミュラ・ニッポンのチャンピオンになれたことで最終的には誇るべきシーズンだったと思う。
一貴:めまぐるしい一年だったが、初めての経験だったル・マン24時間レースとWECのシーズンを本当に楽しんだ。非常に高いレベルで、きん差でのレースが繰り広げられており、富士でわれわれが勝利したときには、6時間のレースを終えて2位との差はわずか11秒だった。LMP1カーのドライブは初めての時から面白い挑戦で、ずっと楽しい時間を過ごすことができた。