全19戦で争われることになる2013年のF1シーズンはまだ開幕を迎えていないものの、すでに翌2014年F1シーズンに向けての多くの計画が立てられている。
『Speedweek(スピードウィーク)』に、今年のクルマを設計する上でもっとも困難だったことは何か、と尋ねられたロータスのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンは、「大勢の優秀な人材がすでに2014年のクルマの開発にあたっているという現実がある」と答えている。
ここ数年大きな変化のなかったレギュレーションが、2014年には大きく変わることになる。アリソンによれば、これまでは運動エネルギーを回生するのみだったKERSに代えて、熱エネルギーの回生も行うERSシステムが導入されることや、これまでの自然吸気V8エンジンからまったく新しいV6ターボエンジンへの変更が特に大きいという。
この変化が重要なカギをにぎるものとなりそうだ。たとえば、ルイス・ハミルトンが今季マクラーレンからメルセデス・ベンツのワークスチームであるメルセデスAMGへ移籍した背景には、エンジンメーカーであるメルセデス・ベンツが新ルールに関して何らかの約束を行ったことが、一番大きな動機づけとなったという見方もされている。
ベテラン記者のトニー・ドジンスも「私はそれが決定的な要因だったと確信している」と述べ、次のように続けている。
「ルイス(ハミルトン)は、これからの新たなターボ時代に向けて、チームがエンジンメーカーと密接な関係を持つ必要があることを分かっているんだ。さらに、彼はメルセデスAMGが2014年の準備に集中するために2013年シーズンのための開発作業を早期に止めるだろうということも分かっている」
事実、ハミルトン本人も、2013年がどういうシーズンになろうと、それに対する心構えはできているようにみえる。ハミルトンはフランスの日刊スポーツ紙である『L’Equipe(レキップ)』に次のように話している。
「心配していないよ。僕は(メルセデスAMGでの)最初のレースで15位に終わる覚悟もできているんだ」