BMWグループとトヨタが、「燃料電池(FC)システムの共同開発」「スポーツカーの共同開発」「軽量化技術の共同研究開発」に関する正式契約締結を発表した。また、昨年3月に開始した次世代リチウムイオンバッテリー技術に関する共同研究について、第2フェーズとして、ポストリチウム電池であるリチウム空気電池技術の共同研究を開始する正式契約も締結された。
これはゼロエミッション社会の実現に向け、FC技術の普及を共通の目標とし、中長期的な協力を進めていくもの。2020年を目標に、両社の技術を持ち寄り、FC車の普及拡大を目指し、FCスタック・システムをはじめ、水素タンク・モーター・バッテリーなど、FC車の基本システム全般の共同開発を行う。また、FC車の普及に必要な、水素インフラの整備や規格・基準の策定に向け協力していく。
さらに、ミッドサイズのスポーツカーに搭載する共通のプラットホームのコンセプトを決定するためのフィージビリティ・スタディを開始することでも合意。フィージビリティ・スタディは、本年中に完了する予定。その後、スポーツカーの共同開発に向けた将来のさらなる協力について検討していくという。
また、強化樹脂など先端材料を活用したボディー構造の軽量化技術の共同開発を行っていく。成果は共同開発するスポーツカーのプラットホームや両社のほかの車種にも織り込む予定だ。
そして、エネルギー密度や燃費の面で、現在のリチウム電池の性能を大幅に超えるリチウム空気電池を共同研究する。
BMWのノベルト・ライトホーファー取締役会会長は、「トヨタとBMWグループは将来の持続可能なモビリティの実現に向けた戦略的ビジョンを共有している。これから迎える技術的な変革期により、自動車業界全体が大きなチャレンジに直面するが、同時に好機でもあると認識している。今回の協業は、両社の今後の継続的な発展にとり、重要な礎になると確信している」と語った。
トヨタの豊田章男社長は「提携合意から約1年、日々、BMWとの信頼関係が強固なものとなり、着実に次のステップへ進み続けていることに感激している。ここからはいよいよ成果を出していくフェーズ。今後、具体的な共同開発の中での『学び』を大切にしながら、『もっといいクルマづくり』という共通の目標に向かって、両社で切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と語った。