いくつかのメディアが、F1では才能あるドライバーたちが財政危機の犠牲者となっていると報じている。
ドイツの主要紙である『Bild(ビルト)』や、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』を含む専門誌は、F1が「病んでいる」と論評している。
「何も問題を抱えていないのは、レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、それにメルセデスAMGのたった4チームだけだ」と『Bild(ビルト)』が報じたのに続き、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』も次のように書いた。
「われわれはF1を心配しなくてはならない。HRTはなくなった。ケーターハムとマルシャはペイドライバー(資金を持ち込めるドライバー)によってしか生き残ることができない。ティモ・グロック(元マルシャ)やヘイキ・コバライネンのようなドライバーたちは仕事を失っている」
「F1は、どうすれば長期的に生き残ることができるのか思い悩んでいるに違いない」
スイスのベテラン記者ロジャー・ブノワは22日(火)に次のように書いている。
「もし、11チームがそのすべての負債を2月末までに清算しなくてはならないとしたら、(F1開幕戦オーストラリアの)メルボルンでレースができるのは10台だけになってしまうだろう」
この「財政危機」のもっとも新たな犠牲者となったのがドイツ人ドライバーのグロックだ。所属していたマルシャはスポンサーマネーを持ち込めるドライバーとの契約を目指して、グロックとの間に結ばれていた「有効な契約」を中途解約している。グロックは、現時点ではDTM(ドイツツーリングカー選手権)へBMWチームから参戦することに活路を見出そうとしている。
そのグロックは、ツイッターで次のようにつぶやいた。
「それが現在のF1のやりかたなんだ」
「こういう状態がまたすぐに変わることを期待するよ。このようなことはスポーツとは関係ないことだからね」
「ペイドライバー」たちの力が強まっている現状について、フェラーリのフェリペ・マッサも22日(火)に、「正直に言って、これはF1にとって良いことだとは言えないね」と語った。
ザウバーのチーム代表であるモニシャ・カルテンボーンは、この状況を解決するにはコスト削減を大幅に、かつ早急に進める必要がある、とスイスの『Blick(ブリック)』に述べ、さらに次のように続けている。
「もし、それがすぐに実現しなければ、F1は非常に危機的な時期を迎えることになるでしょう」