F1の最高権威バーニー・エクレストンは、2012年のF1チャンピオン決定がシーズン20戦目にして最終戦のF1ブラジルGP(25日決勝)までもつれ込んだことに満足している。
選手権首位のセバスチャン・ベッテル( レッドブル)が先日のアメリカGPで優勝を逃し、選手権2位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)に25ポイント以上の差をつけられなかったため、タイトル争いの行方は最終戦ブラジルGPの結果にゆだねられた。この結果を見たエクレストンは、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーの近くを通りかかった際に「本当にどうもありがとう」と冗談を言ったのだ、とホーナーが報道陣に明かしている。
エクレストンは「ほんとうに親切だね。計画通りだ」とも言ったという。エクレストンの冗談に、ホーナーは「わかるだろう、すべては決まっていることなんだよ」と、こちらも報道陣に冗談を言っていた。
それでも、エクレストンはベッテルの3連覇を願っていないわけではない。ベッテルと親しい間柄でもあるエクレストンは『SID』通信の取材に、ベッテルの3連覇を予想する発言をしていた。
最後の1戦でのF1チャンピオン決定は「ファンならば誰しも望んでいることだ。私自身を含めてね」と82歳になるエクレストンは話している。
そして、ブラジルGPの勝者は、「セバスチャンだと思う」と、史上最年少でF1選手権2連覇を果たしたベッテルの名をエクレストンは挙げた。
エクレストンはベッテルの勝利にいくら賭けるかと聞かれると、「言われるがままの金額を賭けよう」と言っており、ベッテルのF1タイトル獲得を確信しているようだ。
タイトルに最もふさわしいドライバーについては「最終的に一番多くポイントを取ったドライバーだ。だから、これまでやってきたことを見てもセバスチャンの可能性が高いだろうね。けれど、最高のクルマに乗っていないフェルナンドにも、その資格はあるね!」とエクレストンは話している。
フェラーリびいきで知られるイタリアの報道陣でさえも、ベッテルがF1の最高権威エクレストンのお気に入りであることは認めた。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デル・スポルト)』は、「選手権の行方はまだわからない。しかし、選手権まだ終わっていない、という言い方をしたほうがいいだろう」とつづり、『The sports daily(スポーツ・デイリー)』は、ベッテルとレッドブルに勝つことは可能だが「今のアロンソとフェラーリでは無理だ」と書いている。
フェラーリの母国イタリアの報道陣もアロンソのタイトル獲得にあきらめムードを漂わせる中、伝説的ドライバーのニキ・ラウダも、ベッテルとアロンソの13ポイント差は「1戦でひっくり返すには大きすぎる」とベッテルのタイトル獲得を『RTL』局に予想した。
元ドライバーのマルク・スレールは『Sky(スカイ)』に「ベッテルはブラジルで完走すればそれでいいんだ。クルマが壊れてリタイアする、それが唯一の危険因子だろう」と話している。
情勢は圧倒的に不利だが、アロンソは最後まであきらめない姿勢を見せ、次のように語った
「レッドブルは冷却システムやブレーキ、KERS(運動エネルギー回生システム)、オルタネーター(発電などを行うパーツ)によく問題が起きるんだ」
「これまではいつも(ベッテルのチームメートの)マーク・ウェバーのクルマに問題が起きていたけれど、ブラジルではもう一台の方に問題が起きるかもね」