キミ・ライコネン(ロータス)は、レース中にエンジニアから送られる無線の指示にうんざりしたのかもしれないが、もう一方であの発言は、F1アブダビGP(11月4日決勝)優勝に向かってひた走るライコネンなりの「演出」だったと、元F1ドライバーで現在はWEC(世界耐久選手権)でトヨタのハイブリッドマシンを操るアレックス・ブルツは、考えている。
時計の針を巻き戻してみよう。F1第18戦アブダビGP決勝終盤、トップを行くライコネンはピットウォールにいるエンジニアの話を無線で聞いているうち、シビレを切らして次のような名言を吐く。「もう放っといてくれよ。やることは分かっているって」。その後ライコネンは、F1復帰後初の優勝を飾った。
2007年にフェラーリでF1王者となったライコネンは、「アイスマン」の異名をとっている。F1モナコGPでは、ライコネンが手本とする元祖オレ様F1ドライバー、故ジェームズ・ハントに敬意を表し、ハント・カラーのヘルメットをかぶってドライブしていた。
アブダビGPのレース中に短気を起こしたライコネンについて、ブルツはウェブサイト『motorline.cc』に、次のように語った。「まあ、キミらしい話だよね」
「でもね、キミは賢い男だよ。“キミ・ライコネン”というブランドはどうあるべきか、よく分かっているんだ」
「キミは技術者の重要性をちゃんと理解している。じゃなかったら、わざわざマクラーレンからマーク・スレイドというエンジニアをロータスに引っ張ってきたりしないよ」