2012年シーズンのF1チャンピオン候補者はフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)とセバスチャン・ベッテル(レッドブル)の2人にしぼられたが、残り2戦で逆転してタイトルを獲得すべく、フェラーリがシーズン終盤のこの時期になっても開発テストを行った。
2005と2006年のチャンピオンであるアロンソと、2010と2011年のチャンピオンであるベッテルは抜きつ抜かれつ、激しいポイント争いを繰り広げている。
先日のF1アブダビGPでベッテルは、予選終了後に燃料規定違反のペナルティーを受け、予選結果から除外され、結局ピットレーンからスタートしたものの、3位表彰台に立っている。一方、アロンソはベッテルより1つ上の2位でゴールし、ベッテルとの差を3ポイント縮めた。F1アメリカGP(11月18日決勝)とブラジルGP(11月25日決勝)の2戦を残して、アロンソはベッテルとの10ポイント差をひっくり返すべく全力を尽くしている。
しかし、アロンソが乗るフェラーリの2012年型車F2012は、ベッテルが乗るレッドブルのRB8と比べて速さに劣る。空力の魔術師との称されるエイドリアン・ニューイが設計したレッドブルのクルマに挑むアロンソは、アブダビGP終了後にこう語っている。
「僕たちは開発の手をゆるめるわけにはいかない。(工場がある)マラネロでは、昼夜を問わずに新しいパーツが作られているんだ」アロンソの発言を裏づけるように、フェラーリが最後の2戦に向けてここ最近とは異なるクルマをフェラーリが用意していることを『Marca(マルカ)』が報じた。
スペインでは、フェラーリがテストを実施。フランス人若手ドライバーのジュール・ビアンキが走行を担当した。フォース・インディアのテストドライバーを務めているビアンキは、フェラーリの育成プログラムの一員でもある。
『Marca(マルカ)』によると、ビアンキが走らせたクルマには新しいウイングとディフューザーだけではなく、ほかにも多くの新パーツが取りつけられていたという。
「フェルナンドがいれば、最強のクルマは必要ない」と、フェラーリのテストドライバーであるマルク・ジェネが『El Confidencial(コンフィデンシアル)』にアロンソの強さを語っている。
「ただ、最強のクルマと戦えるクルマを与えてあげられれば、あとはアロンソがなんとかしてくれる」
「チームはできる限りいいクルマにアロンソを乗せてやろうと必死に働いている」
アロンソがチーム全体からサポートを受ける一方で、ベッテルのチームメートでアロンソと親しいマーク・ウェバー(レッドブル)は、2012年F1チャンピオン予想の賭けをするならば、アロンソに賭けるべきだと話していた。