主要専門誌のうち3誌が、渦中のレッドブル「ゴム製ノーズ論争」を軽く流そうとしている。
最近のビデオ映像で、レッドブルのデザイナーであるエイドリアン・ニューイが手掛けたRB8(レッドブルの2012年型車)のフロントノーズの先端が明らかに曲がりやすくなっていることが判明した。まるで「ゴム」でできているかのように見受けられるため、ファンも含めた一部からレギュレーションに抵触しているのでは、との疑問があがっていた。
しかし、イタリア紙『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』のジャーナリスト、アンドレア・クレモネシは、「FIA(国際自動車連盟/F1の統括団体)によれば、すべては合法である」と述べ、次のように説明した。
「問題になっているパーツは構造物ではないため、クルマの他のパーツのように厳正なる審査の対象にはならないとする回答がパリから届いた」
「FIAは、ノーズコーンが他のクルマの側面に接触した際、危険な状態を避けるため、柔らかい素材のノーズを求めていると言明している」
また、ドイツ誌『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のジャーナリスト、トビアス・グルーナーも似たような分析をしている。
「映像を技術の専門家たちに見せたところ、みんなの意見は一致した。単なる思い過しだ、と」
ノーズの先端は、FIAのクラッシュテストを満たすために他のパーツよりも「常に柔らかく」できているとクルーナーは述べた。また、F1アブダビGP(4日実施)で最初のピットストップを行ったベッテル(セバスチャン・ベッテル/レッドブル)のノーズは、フロントウイングにダメージを負っていたために、よりもろく見えたのではないか、とグルーナーは考える。
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』は記事の中で、「ほかのチームのエンジニアに意見を求めたところ、ノーズの先端をある程度変形させることが認められていると分かった」と付け加えた。
「とは言うものの、レッドブルが程度を超えた解釈をしている可能性は非常に高い。なぜならば、変形可能な構造がフロントウイングを支えることで、ウイングをできるだけ地面すれすれに近づけるからだ」と指摘。
「専門家の中にはそう信じ込んでいる者もいる」と加えた。