マクラーレン・グループのレースカー開発部門であるマクラーレンGTは、さらなる体制強化を図るための新たな人事を発表。F1で長年経験を積んできた3名が要職に就く。
アンドリュー・ベイリーは、ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスF1チームからの移籍となる。ベイリーは2008年にマクラーレンF1チームに加わり、シーズン後半からルイス・ハミルトンによってチャンピオンシップマシンとなったMP4-23の開発にかかわるとともに、これまで車両設計責任者として、システムエンジニアリングやコントロールシステムなども統括してきていた。今後はマクラーレンGTのオペレーションズディレクターとして、同社の日常的な業務遂行全般を管理してゆく。
イアン・モーガンは元レッドブル・レーシングF1チームでレーシングエンジニアリングの責任者を務めていた人物。同チームが2010年から2011年にかけて連続でドライバー部門、チーム部門の2つのタイトルを連続で獲得したことは記憶に新しいが、モーガンもレッドブルの最高技術責任者であるエイドリアン・ニューイのエンジニアリングチームの一員としてその栄光を担ってきた1人だ。モーガンはそれ以前には、メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・プロジェクトのシニアビークルデベロップメントエンジニアを務めていた時期もあり、今回の移籍はマクラーレンへの里帰りとも言えるものだ。
ティム・ホワイトもトップレベルのモータースポーツの世界で25年以上に及ぶキャリアを持つ人材であり、過去にはイルモア・エンジニアリング、メルセデス・ベンツHPE、そしてレッドブル・テクノロジーなどで要職を務め、最近はロータスのインディカープログラムにおいてシニアトラックサポートエンジニアとしてその手腕を振るっていた。
今回の人事は、マクラーレンGTがそのエンジニアリング施設を、イギリスのウォーキングにあるマクラーレン本部の技術センターのそばに移転させたことに併せて行われたもので、今回の施設移転や人事により、マクラーレンGTとマクラーレン・グループ本体がさらにその知識や経験を融合することが可能となると期待される。
今回の人事について、マクラーレンGTのマネジングディレクターであるアンドリュー・カーカルディーは次のように述べている。
「トップレベルのモータースポーツで彼らが果たしてきたことが彼らの優秀さを証明しているし、われわれが挑戦を続け、大きな成功を飾ることができたデビューシーズンの後に彼らがわれわれに加わってくれたことをうれしく思う。彼らが今のチームをさらに強化し、2013年シーズンにおいてさらなる成功を収めるために、ともに働いてゆけると確信している」
マクラーレンGTは2011年初頭に設立され、今年2012年にはFIAのGT1選手権をはじめとするいくつかのレースシリーズに25台の「12C GT3」を供給することでレース界へのデビューを果たした。そしてそのデビューイヤーにすべての参戦シリーズを通算して19勝をあげている。