28日(日)に決勝を迎えるインドGPを走るフェラーリのクルマにはイタリア海軍旗のステッカーが貼られている。イタリアとインドの間で政治的な問題が持ち上がっているときに海軍旗を貼るなど政治的な行動は、F1で禁止されている“政治的”な行為だと批判が集まっているが、フェラーリは政治的主張を目的とした行動ではないとの見解を示した。
しかし、これは先日イタリア海軍が引き起こした事件に伴う行動であることは明白だ。漁師を海賊と誤認したイタリア海兵隊員2名がインド人漁師を射殺し、インド国内で殺人容疑により拘束されている。イタリア側は海兵隊員を自国内で裁くことを求めているが、インド側はこれを拒否。この状況でフェラーリが海軍旗をクルマに掲示した行為をイタリア政府は歓迎し、インド政府は反発している。両政府がフェラーリの行為に反応を見せること自体が、海軍旗掲示が政治的メッセージであることの証明だ。
しかし、フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリは、26日(金)のインドGP初日に、海軍旗の掲示はイタリア海兵隊員とインド人漁師の事件とは関係ないと主張している。
「いやいや、それは違う」とドメニカリは短い言葉で政治的メッセージの発信を否定したが、この件についてフェラーリが最初に発表した声明にははっきりと「2名の海兵隊員」と記載されている。
その後、フェラーリは新たな声明を発表し、2つめの声明文には「インド政府には最大の敬意を払っており(中略)この行為は(中略)なんら政治的主張を含まないものである」と記されている。
しかし、フェラーリ会長あるルカ・ディ・モンテゼモーロは、海軍旗の掲示が政治的メッセージと受け止められることを知っていたはずだと見るイタリア人関係者もいる。
事実、モンテゼモーロは『Ansa(アンサ)』通信に「海軍旗の掲示は、この件に関してフェラーリにできることのひとつなんだ」と語っており、『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』も次のようなモンテゼモーロの発言を伝えている。
「私たちは、小さくても何か貢献したいだけなんだ。この件に解決策を見出すためにね」