かつて、アメリカのレースシリーズCART(現インディカー)の代表を務めていたアンドリュー・クレイグが、現在F1の筆頭株主であるCVCに対して、F1の最高責任者であるバーニー・エクレストンが元銀行家ゲルハルト・グリブコウスキーの贈収賄スキャンダルに巻き込まれている今、F1の売却を進めるよりも「様子を見る」ことのほうがよい、と助言を行った。
ドイツ検察が、長期にわたってF1のボスに君臨するエクレストンを汚職容疑で告訴するかどうかを検討しているとされる。しかしこの間、F1の実質的なオーナーであるCVCは、予定していたF1株式の市場公開を市場環境の悪化を理由として延期していた。
だが、クレイグはF1ビジネスに詳しいジャーナリストとして知られるクリスチャン・シルトに対し、このF1株式市場公開延期とエクレストンの問題の間には関連があるように見える、と次のように述べている。
「CVCとしての最善の選択は、この刑事訴訟問題が解決するまで様子を見ることだろうね」
だが、エクレストン本人を含むさまざまな関係筋からの情報によれば、それにはまだかなり時間がかかることになりそうだ。
エクレストンもシルトと『Eurosport(ユーロスポーツ)』に対し、「いつになったらこれ(訴訟事件)が本当に終わりになるのかわからない」と語っている。
シルトは、さらにCVCと密接な関係があるとされる匿名の人物のコメントを次のように引用した。
「(検察がエクレストンを告訴しようとしているのかは)よくわからないんだ」
「バーニーはそれについて無関心を装っているしね。正直なところ、本当にわからない」
10月に入ってすぐ、ドイツの『Suddeutsche Zeitung(ズードイチュ・ツァイトゥング)』紙は、ひとつの解決策として、メルセデスが誰か影響力を持つ人材をF1に迎え入れ、エクレストンを最高経営責任者の座から降ろすように働きかけることが考えられると報じ、メルセデス関係者の話として次のようなコメントを紹介していた。
「われわれは数か月も成り行きを待つことなく、行動に出るよ」