最近、ラリーに参戦して競技生活に復帰を果たしたロバート・クビサが、以前所属していたロータスを「純粋なレーシング・チーム」と称えた。
ロータスは今シーズン素晴らしい走りを見せているが、今年それを走らせているのはクビサだったかもしれない。
27歳のクビサは、2011年開幕前に参加したラリーで大ケガを負い、長くリハビリを続けていたが、最近ようやく小規模のラリーに参戦できるようになった。しかし、負傷した右腕の機能はまだ完全に戻っていない。
2010年と2011年にクビサが所属していたロータス(当時のルノーF1)のチーム代表エリック・ブーリエは、クビサとは連絡を取り合っていないことを最近認めている。
「マネジメントと連絡はとっているが、それ以外はない」とブーリエは明かしている。「彼の現在の状況については長いこと聞いていない」
しかしクビサは、2012年も遠くからロータスを見守り、高く評価していることをイタリアの『Omnicorse(オムニコルセ)』のインタビューで明かした。
「最初の年は、(チーム名は)ルノーだったけれど、経営はジェニイ・キャピタルだった」
ルノーF1は、自動車メーカーであるルノーのワークスチームだったが、クビサが移籍した2010年開幕前に、チームの株式の大部分を投資会社であるジェニイ・キャピタルに売却した。
「僕は、もうなくなってしまった(ワークスのルノー)チームと取り残された。あのシーズンは以前のクルマでスタートして、何度かいい結果を出した。予算がすごく減って、開発が遅れたにもかかわらずだよ。何しろ冬の間は、チームが存続するかどうかすら分からなかったんだからね」
「今それが報われつつあるんだと思う」とクビサは当時の状況を語った。「2010年にはもう、チームの強みが何なのか見えていた」
「ロータスは純粋なレーシング・チームなんだ。今のF1にはあまりないよ。トップチームや主要なメーカーを見ると、大勢の人間を抱えてまとめるのが難しくなっている」
「ロータスは、レースへの情熱だけでやっているチームだ。それは大きな長所だよ」
「それに、すごくいいシングル・シーターを作れる少数の人間のすごくいい集まりなんだ。今年は、それが見えているよね」とクビサはロータスの強さを説明している。
しかし、ロータスの2012年型車E20には明らかに競争力があるにもかかわらず、2007年のチャンピオンであるキミ・ライコネンも若手のロメ・グロジャンも、いまだに1勝もできていない。この点については、クビサも「不思議だ」と認めた。
「ライコネンが予選でもっと前のグリッドを獲得できれば、それかグロジャンがキミに決勝でついていければ、勝てるだろう」とクビサは語った。
では、ドライバーに問題があるということだろうか?
「いや、そうは言っていない」とクビサは正した。
グロジャンは、予選でたびたびライコネンの上をいく走りを見せているが、決勝では何度も他車と接触事故を起こしており、ベルギーGPでは、スタート直後に起きた多重クラッシュの原因を作ったとして、次のイタリアGPの出場停止処分を受けた。クビサは、このペナルティーについて厳しすぎるという意見だろうか。
「分からないよ」とクビサは答えている。「僕が判断することじゃない。特に、僕はもうあの世界の人間じゃないしね」
「グロジャンのことはよく知っているし、とても頭のいい男だけれど、僕に言えることは、今年何度もチャンスを無駄にしているということだ」
「意外だよ。だぶん、プレッシャーに苦しんでいるんだろう」とクビサは付け加えた。
「F1は、見た目以上にさらに複雑なんだ」とクビサは説明している。「本当だよ。内部にいても簡単には理解できないくらいなんだ。まして外部の人間にとっては、なおさらだよ」