マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュが、メルセデスAMGに対してコンコルド協定を締結するよう求めている。
コンコルド協定とは、F1チームとF1の商業権管理会社FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)、そして統括団体FIA(国際自動車連盟)の3者によって結ばれている協定で、F1の運営方法や収益の分配方法などが規定されている。
メルセデスのコンコルド協定締結については、F1の最高権力者バーニー・エクレストンが先日ドイツGPの舞台で、ウィットマーシュとは正反対の発言をしていた。つまり、メルセデスAMGはいまだ新コンコルド協定に合意を示していない、と。
メルセデスAMGがコンコルド協定締結に難色を示している最大の理由と言われているのが、F1の株式公開に関する意思決定の権限だ。メルセデスAMGのライバルチームであるマクラーレン、フェラーリ、レッドブルには権限の所有が提示されたという。
事実、F1の公式ウェブサイトに掲載されたインタビュー記事の中で、ウィットマーシュは「(意思決定権を持つのは)フェラーリ、レッドブル、マクラーレンの3チームのメンバーだ」と明かしている。
「もはや、これは秘密でもなんでもない。すでに9チームが新コンコルド協定を締結しているのだからね。お隣の銀色のチーム(メルセデスAMG)も早く協定を締結してくれるといいね。われわれに意思決定権が与えられるのは、その後になるのだから」
2013年以降のコンコルド協定締結には他にもハードルが待ち構えている。チームではなく、F1の運営団体であるFIAがいまだ協定にサインをしていないのだ。
これについて質問を受けたウィットマーシュは「そうだね、いま怖いのはまだ話が決まっていないということ、そしてまだ変わりやすい状況にあるということだ」
「ときにF1は、内部の軋轢(あつれき)が原因でチャンスを逃している」
そう言いながらも、今の運営団体であるFIAがなくてもF1はやっていかれるとウィットマーシュは考えている。
「けれど、私にはそれが生産的であるとは思えないんだ」
面白いのは、チーム同士で組織するFOTA(フォーミュラ1チームズ・アソシエーション)分裂の先陣を切ったはずのマクラーレンで代表を務めるウィットマーシュが、チームがサインしたのはひとまとまりのコンコルド協定ではなく、「個別契約」にサインしたのだと明かしていることだ。
「われわれのチーム(マクラーレン)がその契約内容に納得いかなければサインなどしなかった。だから不満など言わないが、われわれ全員が、それぞれ整合性がなく、まとまりのない個別契約を持っているとしたら恐ろしいね」
「コンコルド協定は完ぺきではない。しかし、これは投げやりになる前によく考えるべきだという見本だよ。まだ機能しているものをどうしてもう一度作り直すんだ?」