F1にタイヤを供給するピレリのモータースポーツ責任者ポール・ヘンベリーが、最近のピレリタイヤへの批判に対して反論した。
先週ミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)がピレリタイヤを批判する発言をしたことで、ピレリに対する議論が再び巻き起こっている。シューマッハは以前もピレリを批判する発言をして物議を醸した。
シューマッハは、ピレリ以外のタイヤメーカーがF1に参入することを歓迎すると認め、その理由として「そうすれば、まともなタイヤが使えるようになるから」と述べていた。
「今週の話題になっているようだね」とヘンベリーはオーストリアの 『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』紙に語った。
「ルールでは供給元は1つと決まっている。それが変わるなら、自分たちの仕事ぶりをあらためて評価し直す必要が出てくるだろう」
「突き詰めれば安全性の問題になるが、それはわれわれにとって非常に重要な要素だ。F1ではタイヤの安全性については問題がなくなったと言われてきた」
このヘンベリーの発言は、2005年のアメリカGPのことを念頭においてのものだ。当時、ブリヂストンとミシュランの2社がF1にタイヤを供給していたが、アメリカGPでミシュランタイヤの安全性が問題視され、ミシュランタイヤを使う全チームが決勝を走らずにリタイアする事態になった。
ヘンベリーは、今シーズンのF1の展開にピレリは満足していると語った。
「もちろんだ」とヘンベリーは話し、こう続ける。「シーズン前半は刺激的なものになった。多くのドライバーが優勝している。それにわれわれが貢献しているのは確かだ」
「F1はこれまでになく見応えのあるものになっている。それなのにどうして満足しちゃいけないんだ?」
またヘンベリーは、ピレリが激しい批判を浴びていると言うのは正しくないと主張した。
「記事で読むことと、チームとの技術ミーティングで耳にすることとは、異なっている」
「確かに、(ピレリタイヤの)最大限の力を引き出すことは、誰にとっても難しい。エンジニアにとっても、ドライバーにとってもだ。しかしそれは全員が同様に抱えている課題だ」
「われわれはF1が要求したタイヤを作った。そういう意味で、われわれはいい仕事をしたんだ。私がファンだったら、2012年のF1に夢中になっているよ」とヘンベリーは自信を示した。
しかし、ブランド名をアピールするためにF1に参入したはずのピレリにとって、使いにくく、性能劣化の激しいタイヤを供給することで、消費者にマイナスイメージを与えるという懸念はないのだろうか。
「いや、そうは思わない」とヘンベリーは答えた。
「われわれの仕事は、ほかのF1関係者と同様、ファンを楽しませることだ。しかし、常にそれができていたわけではない。(過去には)退屈なレースもたくさんあった」
「今は、これまでになく刺激的になっている。われわれは、サッカーやオリンピック、ほかのあらゆるスポーツと競っているんだ。F1が刺激的なものでなければ、ファンを楽しませることはできない」