マーク・ウェバー(レッドブル)は、「今シーズンのタイトルを狙いたい、という思いが自分を2013年のレッドブル残留に動かした」と明らかにした。
来シーズンもセバスチャン・ベッテルとともにチームにとどまるとレッドブルが発表するまで、大半がウェバーのフェラーリ行きを確実視していた。
ウェバーは、正式なメディア向けのコメントの中でもフェリペ・マッサ(フェラーリ)の後任について「フェラーリ側と何回か話し合いをした」と接触を認める発言を行っていた。
今回、ウェバーは『AP通信』に「チーム側に自分はチームと100%一心同体である、と確信を持ってもらうことがとても大切だし、実際に僕はそうである」と話している。
しかし、うわさ通りフェラーリへ移籍することになっていたとしたら、そう話すこともなかったであろう。
というのも、ウェバーはかつてチーム側のドライバーに対する平等性にあからさまに疑問を呈していたからだ。2010年のイギリスGPでは、フリー走行3回目でフロントウイングを壊してしまったベッテルに対し、チームはウェバーのフロントウイングをベッテルに与えるという決断を下した。このようなチーム内のあからさまなベッテル優遇の中、決勝ではパンクで後方に下がったベッテルとは対照的にウェバーは見事優勝を果たす。チェッカーフラッグを受けたあと、チームに対し無線で「セカンドドライバーにしては上出来だろ?」と皮肉交じりのコメントを放ったことはあまりにも有名だ。
あれから2年の時が経った。その間にチームメートのベッテルは2年連続でタイトルを獲得している。そのベッテルに対し、ウェバーは今季これまで16ポイントリードしており、ドライバーズランキングでも2位につけている。
タイトル獲得を挑戦できるのは今回がラストチャンスかもしれないとウェバー自身が感じている。
「今年のタイトルを狙っているということが判断材料のひとつであった」とウェバーは『BBC』のコラムの中で認めている。
「もしライバルチームに移籍することが決まっていたら、この好調さを維持するのが少し大変になったかもしれない。確かに残留を決断した要素のひとつではあるけれど、一番の理由ではない」
ウェバーがチームと更新した契約は今回も1年であるが、本人はまだまだ現役を続けるつもりでいる。
8月で36歳になるウェバーは「引退をまったく考えていない」と語る。
「更新したのは1年のみだけど、F1にはもっと長くとどまるつもりだよ」とウェバーは締めくくった。