ベテランF1記者のロジャー・ブノワはザウバーに対し、ドライバーラインアップを考え直すよう呼びかけている。
ザウバーはイギリスGPにおいて、大本命ではないにせよ、ダークホースとして優勝候補に挙げられていた。レース後、マクラーレンのジェンソン・バトンもC31(ザウバーの2013年仕様車)がおそらく最速のクルマだっただろうと評した。
ところが、ザウバーはイギリスGPで1ポイントも獲得することができなかった。
まず問題が発生したのは予選。豪雨で予選が中断されるまでは順調に進んでいたが、再開されるとザウバーのエンジニアたちは、まだずぶ濡れの路面状況だったにも関わらず、インターミディエイトタイヤ(路面の水量が少ないとき向け雨用タイヤ)を装着して、ドライバーたちをコースに送り出した。これはチーム代表のペーター・ザウバーも「明らかな失態」と認めている。
決勝レースでも問題が続発。まずはセルジオ・ペレスがパストール・マルドナード(ウィリアムズ)と接触してリタイアに追い込まれた。レースを台無しにされ憤慨(ふんがい)したペレスは、マルドナードのことを「愚かなドライバー」と怒りを込めてののしっていた。なおこの一件で、レース後にマルドナードには1万ユーロ(約98万円)の罰金が科せられている。
一方、小林可偉夢は17番グリッドのスタートから一時はポイント圏内にまで浮上し、力強いレース展開を途中まで見せていた。しかし2回目のタイヤ交換でピットインした際、所定の停止位置に止まりきることができずにピットクルーと接触。その結果2名のクルーが軽傷を負い、サーキットの医療施設へと運び込まれた。
この件でチームに謝罪した可夢偉だが、2万5,000ユーロ(約245万円)の罰金が科せられた。3度の世界王座に輝いた元F1ドライバーのニキ・ラウダは、可夢偉が引き起こした事態を「ここしばらくの間で最もとバカバカしい失敗だ」と厳しい指摘をしている。
「私は『Blick(ブリック)』紙で何度か書いたんだ。今のドライバーラインアップでは、ザウバーに未来はないとね」とブノワは主張している。