いつもにこやかなロータスのロメ・グロジャンは、元世界チャンピオンでチームメートのキミ・ライコネンについていけていることに喜びを隠せない。
2009年の“クラッシュゲート”事件(※)後にルノーからF1デビューしたグロジャンだが、2010年のシートは得られなかった。その後、GP2のタイトルとロータスチーム代表のエリック・ブーリエの信頼を得てF1での2度目のチャンスを得た。
ベテランジャーナリストのマイク・グッドソンはグロジャンとの会話で「F1で2度目のチャンスを得るドライバーはなかなかいないよ。でも君はそれを得たね」と話した。
2度目のチャンスどころか、元チャンピオンのライコネンより先にグロジャンが今シーズンの8人目のレース勝者になるのではという予想も多く聞かれている。
『Telegraph(テレグラフ)』のトム・ケイリー記者には「あのライコネンと同等に戦えていることに驚きを感じるか?」と質問されると、「驚きはマシンの方じゃないかな」とグロジャンはぐらかした。
ケイリー記者がもう一度質問をくり返すと、「これまでのシーズンの成り行きには驚いたよ。1月の時点で僕が今季2度も表彰台に乗れるって知っていたらすぐに契約したのに」と笑った。
グロジャンがF1キャリアの最初の失敗から復活し、今や18勝を誇るライコネンに迫ろうとしていることについて、3度目にケイリー記者が追求すると、グロジャンはこう答えた。
「キミ(ライコネン)はこのレベルに戻るのに長くかからなかったね。もちろんこれまでの結果にはハッピーだよ。僕は(ライコネンと比べると)経験が足りないし、色々な状況もこれほど良いものだと思っていなかったからね。彼の経験から学んで、それを反映させていくつもりだよ」
※ルノー(現ロータス)の当時の実質的なチーム代表であったフラビオ・ブリアトーレらが、2008年のシンガポールGPで当時所属していたフェルナンド・アロンソ(現フェラーリ)を優勝させるため、チームメートであったピケJr.にわざとクラッシュすることを命じ、これによってセーフティカーの導入をはかったとされる事件。