フェラーリと仮契約を結んだとの報道を否定したばかりのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だが、近い将来のフェラーリ加入を視野に入れているとの見方は根強く残っている。しかし、ベッテル本人がこの意見を再び否定した。
5月27日(日)に決勝が行われたモナコGPのさなかに、イギリスの2紙が現役チャンピオンとフェラーリの仮契約を報じた。2紙はベッテルのフェラーリ加入を2014年だと伝え、うち1紙は2013年のフェラーリがフェリペ・マッサ(フェラーリ)に代えてマーク・ウェバー(レッドブル)を起用してベッテル加入を待つと報じていた。信頼のおける報道機関による同時報道だったが、ベッテルは「僕本人がなにも知らないのに、そういう話が進むと思う?」と笑顔でフェラーリとの仮契約を否定していた。
しかしその後、レッドブルの顧問を務めるヘルムート・マルコの発言によりベッテルのフェラーリ移籍説が真実味を増す展開となった。ベッテルとレッドブルの契約に、一定の条件を満たせば2013年末でベッテルのチーム離脱を認める条項があることをマルコが明かしたのだ。
2年後にフェラーリのクルマに乗る期待が高まる中、10日(日)に決勝を迎えるカナダGPを前にしたベッテルのコメントを『La Presse(プレス)』 紙が伝えた。ベッテルは「今の環境に満足しているから、(チームを)離れるつもりはないよ」と語っている。
レッドブル離脱の意思はないと語ったベッテルだが、これまではフェラーリやマクラーレンといったビッグチームへの加入を完全否定してきた。レッドブルのドライバー育成プログラムが生んだ24歳の最年少連続チャンピオンにとって、レッドブルは家族のようなものだろう。しかし、だからこそほかの環境を求めるとも考えられる。
「僕はドライバーとしてのキャリアのほとんどでレッドブルのヘルメットをかぶってきた。ほかのものはちょっと想像がつかないよ」
「移籍は、きっと、18歳か19歳に戻って実家を出るみたいな気分だろうね」とベッテルはコメントした。
一方、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、同紙にチームはベッテルに満足していると語っている。
「あの性格がベッテルの一番の強みだ。ベッテルは意思が強く、ハングリー精神にあふれプロ意識も高いし、加えて献身的だ」
「ベッテルは成長と進化を続けているばかりか、まだ若くその実力を完全に出しきっているとは思えない」とホーナーはベッテルについて語った。