マルシャが直接的なライバルたちに追いつくためには、KERS(運動エネルギー回生システム)の導入が必要だ。マルシャのチーム代表であるジョン・ブースが語った。
KERSとは、ブレーキ時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換・蓄積し、加速時にそれを利用してモーターを駆動させることで、エンジン単体の場合よりも出力を向上させるシステム。現在はほとんどのF1チームがKERSシステムを搭載しているが、マルシャは今年もKERSの採用を見送った。
だが、ブースはロシアのウェブサイト『championat.com』に、マルシャもKERSを来年のクルマに導入することを検討すると、次のように語っている。
「最初に言っておきたいのは、KERSが自然に優しい技術だと言われてはいるものの、本当のところはただのばく大な無駄遣いに過ぎないということだ」
「だが、われわれの状況をかんがみれば、KERS導入について真剣に検討を始めることが必要なときに来ているだろう。ケーターハムとの差については、そのコンマ5秒か6秒がKERSによるものだからね」
「だから、2013年の導入について真剣に考えている。現時点ではまだ結論は出ていないがね」
F1に参戦を開始した2010年から昨年までの2年間はヴァージンと名乗っていたマルシャにとって、3年目となる今シーズンはここまでのところ失望が続いているとブースも認めざるを得ないようだ。ブースはさらに、マルシャでは厳しいリストラの実施段階を終えたと次のように続けている。
「以前のわれわれは、普通の人間が集まったよいチームだった。だが、今は設計者たちが集まったよいチームになっている。今年でF1での3年目を迎えているが、われわれが本当に誕生したのは2011年の7月だったと感じているよ」
ブースのこの発言は、昨年中盤にそれまで技術責任者を務めていたニック・ワースがチームを離れたことと、新しい本部へ移転したことを指してのものであることは明らかだ。