フェラーリは、1日(火)から3日間にわたってムジェロで行われるテストで、予定されていた改良のすべてを試すわけではないようだ。
「私の情報では、新しいクルマの準備がまだ整っていない」とブラジル紙『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』の記者リビオ・ オリッキオが報じている。
フェラーリの2012年型車F2012は、シーズン開幕前のテストの段階から競争力不足が指摘され、苦しいシーズン序盤戦となっている。フェラーリは次戦スペインGPに向け、「Bバージョン」と呼ばれても過言ではないほどクルマを大幅に変更するとの憶測すら流れている。
だが技術責任者のパット・フライは『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』に対し、フェラーリの技術陣が「(現行の)フロントサスペンションを引き続き採用する」ことを決めたと述べていた。これはフェラーリが今年開発したプルロッド式のサスペンションに言及しているようだ。
車体とタイヤをつなぐサスペンションは、路面の凹凸を吸収するだけではなく、タイヤがより強く路面へ接地することを助ける役割もあり、クルマのパフォーマンスにとっては非常に重要なパーツ。大きく分けてプッシュロッド式と、プルロッド式があり、プッシュロッド式ではタイヤが持ち上がるときにロッド(棒状のパーツ)がスプリングなどを押すことで作動し、正面から見るとロッドがハの字になっている。
これに対しプルロッドでは、タイヤが持ち上がるときにロッドがスプリングなどを引っ張ることで作動し、正面から見るとロッドは逆ハの字だ。現在のF1では、フロントサスペンションをプッシュロッド式にすることが一般化していたが、フェラーリはプルロッドを採用。プルロッド式は、サスペンションなどのパーツを車体の下に設置することから、低重心化できることがメリットの1つだが、フェラーリは空力面の影響も考慮してプルロッドを採用したと言われていた。
そしてフェラーリの情報に詳しい別の記者も、ムジェロのテストでフェラーリはノーズ、サイドポッド、ウイング類が新しいものに変更されるが、「シャシーが新しくなることはないだろう」と指摘している。