未曾有の経済危機の中で、HRTの新たなオーナーたちはF1チームを築き上げようとしている。しかし、同チームへ加入して今シーズンからF1レースに復帰するペドロ・デ・ラ・ロサは、チームが苦境に立たされると予想した。
HRTが拠点を置くスペイン国内の失業率は20%に達し、HRTからは前チーム代表コリン・コレスも離れたが、新チームオーナーであるテサン・キャピタルはチームを根本から建て直すという難題に取り組んでいる。
2011年型のクルマをわずかに進化させたと言えるHRTの新車F112は、先日ようやく日の目を見たが、スポンサーのステッカーはわずかに2社しか確認できなかった。
HRTはスペイン系チームだが、ヨーロッパが大規模な不況に襲われている今、果たしてスペインでF1計画を推し進めるのにいい時期であるのかを問われたデ・ラ・ロサはこう答えている。
「いつだっていいんだよ」
「スペインにはたくさんの労働力がある。学歴も意欲も高い人たち、若い人たちも後押ししてくれているし、経験豊富な人たちもいる」
しかし、資金力が強さにつながるF1では、状況は厳しいと言わざるを得ない。
デ・ラ・ロサも現状を理解しており、『DPA通信』へ次のように語っている。「今は大変なときだ。F1界もそのことに気づいているから予算が削減されているんだ」
そう話しながらも、デ・ラ・ロサはHRTが生き残るためにはもっと多くのスポンサーが必要だと認めた。
「この不況から回復しない限り、状況はますます難しくなるだろうね。このプロジェクトの成功を信じてくれて、成長を助けてくれるスポンサーや出資者が僕たちには必要なんだ」
「その必要性は明らかだ。けれど、まず僕たちがしっかりした組織を作って、投資に値する存在だと印象づけなければいけない」