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トロ・ロッソSTR7、技術解説

2012年02月07日(火)11:00 am

トロ・ロッソのテクニカルディレクターであるジョルジオ・アスカネリが、2012年型車STR7について説明した。

ジョルジオ・アスカネリ
「今年のクルマを設計する上で、大きな影響があったルール変更の1つが、ノーズの位置を下げる必要があるということだった。これはFIA(F1を統括する国際自動車連盟)から示された安全のための規則であり、ドライバーを保護するためにモノコックの横に設けられている貫通防止パネルの位置までノーズの高さを下げることを目的としたものだ。そのため、クルマ前部の形状は空力面で少し不利になっている」

「また、われわれは、ドライバーを守るための貫通防止パネルの幅をさらに広げなくてはならないというルール変更にも取り組まなくてはならなかった。これにより、その部分は今までよりも大きくなっている。ドライバーのためにはよい変更だが、クルマのパフォーマンスへの影響はある」

「3つめのポイントは、排気に関するものだ。新しいルールは排気口をより影響のない位置へ移動させることを求めている。これにより、事実上、リアホイールの少し前のディフューザーの下に低く排気を吹き付けることはできなくなる。このため、車体に関する新しい規則が明らかとなる前に、2009年当時にあった位置まで排気口の位置を高くする必要があった」

「このルール変更によって、非常に強い力を持った気流を失うことになり、相当クルマのスピードを下げることになるだろう。もちろん、誰かが何か特別面白い方法を考え出さない限りにおいてだが。この排気の吹き付けに関する制限は、かなりその効果を減らすことになり、昨年に比べれば10%程度の低下になるだろう」

「肉眼でははっきりわからないことだが、もうひとつのFIAからの技術指示により、エンジンの電子制御に関してできることがかなり制限される。これにより、この分野でライバルたちに対してアドバンテージを得ることはとても難しくなると思っている。これについてはとても厳密に監視されているからね」

「フロントウイングについてもとても大きな変更がある。それはFIAからつい最近になって技術指示書で示されたものだが、フロントウイングの振動と、過度のたわみに関するものだ。2012年にはFIAはフロントウイングの柔軟性をかなり劇的に削減した」

「100kgの荷重をかけた際のたわみ幅をこれまで許されていた20ミリから、10ミリまでの範囲に抑えなくてはならなくなった。さらなる強度をもたせなくてはならないということは、重量が増加することを意味する。そのためクルマのノーズ部分にかなりの重量を加えたが、これはクルマの重量配分に関するレギュレーションに対応する上で問題となりそうだ」

「STR7の設計について大まかに言えば、われわれは2011年のSTR6がよいコンセプトを持っていたという事実のところから始めることができた。しかし、排気口を低くすることは都合が悪く、高い位置にするほうがよかった。それゆえに、規則がこの方向で変更されたことは論理的だった」

「われわれは、アイデアやその特徴的な部分をさらに拡大しながら、2012年にも同様のコンセプトにこだわらなくてはならない。冷却はクルマの設計をする上で常に重要な部分となるが、われわれはサイドポッドの下部をさらに削り落とすようにした。これはクルマの後部をもっとよい流線型にするためだ。簡単に言えば、エンジンとギアボックスの距離を多くとって、シャシーを短くした。それによってクルマはさらに薄くなり、より流線型になった」

「また、われわれはDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)の動作改善に努めており、そのための新しいウイングを開発している。クルマのデビューまでには間に合わせたいと思っている。さらにわれわれはブレーキシステムにも取り組んできた。フロントとリヤの両方で、その効率をもっと改善したかったからだ。机上の計算ではかなりよいものになったと思うが、新しいドライバーたちがそれに対してどういう意見を述べるか様子をみたい」

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